この記事では、偽札の多い25000IQDイラクディナール(IQD)の真贋鑑定方法を、中東やアフリカの紙幣やコインを専門に扱うSALADIN(サラディン)がご紹介いたします。
なお、この記事では旧紙幣の25000IQD札の鑑定方法は対応外とさせていただきます。理由は旧25000IQDはイラク戦争の混乱の最中に作られた紙幣であり、偽札対策がほぼされていないため知識や経験、設備のない方には真贋の鑑別が難しいためです。
25000イラクディナールに偽札が多い理由
まず25000IQDに偽札が多い理由を先に解説しておきます。
25000IQDは偽札が多いため現地でも銀行以外の街の両替するときは注意が必要ですが、この理由は明白で、流通量が多く使用頻度も高いためです。
日本では最高紙幣の1万円札が町中で普通に使えるため想像しづらいかもしれませんが、海外ですと高額紙幣は実際の生活の場ではあまり使用されていないことが多いです。
例えばアメリカであれば100ドル紙幣や50ドル紙幣を店で使用しようと思うと受取を拒否されることが多々あるため、町中では10ドル紙幣や20ドル紙幣などや、クレジットカードがよく使用されます。
これは偽札だった場合の店にとってのリスクが高いためであり、実際100ドル紙幣の流通量のうちアメリカ国内で流通しているものは25%以下となっています。
イラクディナールには50000IRQもありますが、同じような理由で市内ではあまり流通していません。市民にとっての事実上の最高紙幣は25000IQDであり、偽札は新札より流通品のほうがより判別しづらくなるためより、流通されやすく、かつ高額紙幣である25000IQDが偽札のターゲットとなっています。
では実際の見分け方をご紹介していきます。
公式に推奨されている確認方法
引用: CBI - Know your money
CBI(イラク中央銀行)が推奨している確認方法から見ていきましょう。
1.馬の透かし( 表面左)
特別な設備なしでも一番わかりやすい確認方法です。
他の紙幣と同じように、紙幣をライトをバックに照らせば、純血のアラブ種の馬の頭が確認できます。
2. セキュリティスレッド(表面中央左)
表面中央左にあるセキュリティスレッドです。角度を変えると紙幣と同じような赤紫のホログラムが動くのを確認でき、角度や光の強さを変えると黄色に変色します。
背後から光を当てるとالبنك المركزي العراقي (イラク中央銀行)の文字が浮かび上がってきます。この文字は透かしのように天井のライトに当てても確認できますが、スマホのライトや懐中電灯で直接紙幣の裏側から直接ライトを当てればよりはっきりと確認できます。
3. 光学可変インク(表面左下)
左下のマークはスパークパッチやOVIと呼ばれる、光学可変インクで印刷されています。このマークは角度や光の強さにより、紫・赤紫・金・緑がかった金に変色します。
上下に動かすと光るインクが上下するのを確認してください。左右に動く場合は偽札です。
金は光の強さによってはかなり角度を変えないと確認できない場合があるので、部屋の白色蛍光灯ほどの強さの光であれば下から見上げる形で紙幣をかかげると確認できます。
4. 透明部分(左上部)
ユネスコの世界遺産である螺旋型のマルウィヤ・ミナレットもセキュリティ機能の一部です。
ミナレットに重ねてほんの僅かに凹凸のあるインクで٢٥٠٠٠(25000)と印字されているのを確認しましょう。
イラク中央銀行が公式に発表している偽造鑑定ポイントは以上ですが、他にも真贋の判定に使用するポイントが何点がありますので続いてご紹介していきます。
SALADINが独自で使用する確認方法
1. 極小の25000(表面右)
表面右中央、ミナレットとヤシの木の間に25000という数字が隠されて印刷されています。基本的には目視では確認できないサイズですので、裏側からライトを当てた上でルーペかスマホのカメラの拡大機能を使用して確認してください。
2.表面右下の八芒星(ルブ・エル・ヒズブ / 表面右下)
角度を変えるとالعراق(イラク)というアラビア文字が浮かび上がってきます。かなり見づらいので強い光を当て、角度をつけて確認してください。
この写真は真贋鑑定用の強いライトを当てているので、ご家庭の環境であればおそらくここまではっきりと確認はできません。はっきり確認できなくてもそれほど気になさらないでください。
3. 視覚障害者向けのエンボス(表面左下)
表面左下には視覚に問題のある方向けの凹凸のある3本のバーが印字されています。機能的なものですので、こちらを指で触れてみて何の感覚も無く、ただ印刷されているものであれば偽札の可能性が極めて高くなります。
単純な部分ですが、確認するのも簡単ですので必ずチェックしましょう。
4. UVインクでの印刷
多くの国に採用されているUVインクの印刷は、イラクディナールでも採用されています。
印刷があるのは表面で、中央に2箇所、左側に2箇所が印刷されています。
ここでは中央の2つの印刷はインクの色が異なることに注目してください。
中央の大きなナツメヤシと思われるマークは左側2箇所とUVスレッドと同じ色のインクが使用されており、左下の٢٥٠٠٠の文字のマークのみがより緑がかったインクが使用されています。
5. UVスレッド(糸)
25000イラクディナールにはUVライトに反応する糸が編み込まれており、こちらはUVライトを当てなくても目視で確認できます。日本の紙幣では見かけませんが、海外の紙幣では割とメジャーな偽造対策技術です。
糸の場所は各紙幣ごとに完全にランダムとなっており、表裏糸の位置はそれぞれ異なります。
UVライトを所有していなくても目視で確認できますが、鑑定の精度を上げるのであればUVライトにてUVインクでの3箇所の印刷面と同じ色をしているかを確認するのがおすすめです。
以上が鑑定のポイントです。
SALADINでは専門スタッフによる鑑定を行ったイラクディナールを販売しておりますので、確実に本物の紙幣を手に入れたいという方は、ぜひSALADINからのご購入をご検討ください。